2019年5月18日(土)勉強会
「放課後等デイサービスってどんなところ?」
~就学後の障害サービスについて学ぼう~
※今回も就学に関わる知識と行くことで、6名の方が参加されました。
放課後等デイサービスという比較的新しいサービスが何をしているのか?
うちの子に必要なのか?など、この先の選択肢の一つとして、知っておくことが
とても重要です。
その上で選ぶにあたり、板橋区やここ最近の現状、実際に見学しての様子などを
お話しました。
1.放課後等デイサービスとは
1)障害のある就学児童が学校授業終了後や長期休暇中(夏休み、冬休み、開校記念日
等)に通うことのできる施設です。
2)定員は1日10名以上
→10名以上になると単価が下がるため、ほとんどの所が10名定員。
3)2012年に児童福祉法が改正され、新たな施設として設置されました。
→それまでは障害種別ごとに施設が分かれていたが、改正を機に年齢、目的別に
児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等訪問支援、保育所等訪問支援へと
再編成されています。
4)改正に伴い、不足していた障害児施設を増やすため、開設にあたり大幅な規制
緩和がされました。
5)これにより保護者が複数の施設を選択、比べながら選べるようになった。
6)利用は原則就学児童、幼稚園大学を除く6歳から18歳まで。
→特例で20歳まで利用できる場合もある。
2.児童発達支援事業所との違い
1)児童発達支援事業所は、未就学児が対象。
2)私見も交えて言うと、より療育や障害の課題改善、成長促進に特化した
プログラムや専門性のあるスタッフ、経験者が多い。
3.学童、放課後こども広場との違い
1)障害児を対象にしている学童もあるが、これらは障害があるなしに関わらず利用
できる制度。
4.プログラムについて
1)事業所によって特色が異なるが、大きく分けると3つ。
①習い事系
→ダンスなどの運動や楽器、書道、絵画など言ったプログラムを中心に行っている
②学童保育系
→特にこれを特色と決めておらず、自由に過ごす、宿題をするなど、預かり要素が
強い。
↓
現状こういった放課後等デイサービスが多い。
③療育系
→ソーシャルスキルトレーニング(SST)、ABA、Teachプログラムと言った、児童発達
支援事業所でも行っているような、障害児童に向けた専門プログラムを中心に行っ
ている。
2)プログラム例
①料理や掃除、計算や書き取りと言った、日常生活に則した訓練をする。
→就労に向けたプログラムを行うところもある。
②地域交流や外出による社会科見学を行うところもある。
5.放課後等デイサービスの人材について
1)管理者1名(兼務している場合有り)
2)児童発達管理責任者1名(兼務有り)
→児童や障害の支援経験5年以上で、専門の研修を受けている。
3)指導員2名以上
→資格は保育士もしくは児童指導員資格者が1名以上、障害支援経験2年以上
が1名。
6.送迎ありなし
1)送迎を行うところと行わないところがある。
2)学校前から、自宅前まで、バスポイントまでと事業所によって様々。
3)送迎範囲は狭めに限定しているところも多い。
7.利用について
1)障害手帳はなくても、医師や専門家の意見書等で申請し、受給者証が発行されること
で、サービスを利用することが出来る。
2)回数は放課後等デイサービスの空き状況や保護者の意向、家庭環境等で受給日数が
決まる。→必ずしも毎日使えるとは限らない。
3)受給者証申請にあたり、相談支援専門員作成によるサービス利用計画の提出か、
保護者が作成するセルフプランが必要。
→板橋区では放課後等デイサービスだけを利用の場合、児童を扱う相談支援事業
所が少ない事もあり、セルフプランで通る事も多い。
4)事業所によっては、おやつ代、食事代がかかる場合もある。
5)費用は原則1割負担だが、前年度年間所得で支払いに上限がある。
8.都内の昨今の状況
1)民間参入が活発になり、元々学習塾や高齢者介護から、福祉に関連のない企業も
参入している。
2)総量規制
①民間参入に伴い、苦情が相次ぐ、指定を満たしていない、預かりだけで365日開ける、
テレビを見せておくだけなどと言った事業所も増え、質の低下を防ぐため、開設に
あたり制限をかけるようになった。
②結果各市区町村の公募制で、開業したくても、出来ない状況になった。
→ここ最近はやや緩和され、新たに出来始めている。
3)選べない
①総量規制の結果、空きがない施設が増えた。
→18歳まで利用できるので、卒業まで空かないことが多い。
↓
結果回数や曜日、内容での複数選択できない。
4)30年度より制度改正で時間による単価設定や区分制度が出来、運営がしづらく
なった。
5)人員基準が見直された。
→以前は福祉未経験者、無資格者も働けた。
6)結果、人員確保、運営維持できず、廃業する事業所も増えている。
9.板橋区の現状
1)現在放課後等デイは28ヶ所ある。
2)他区に比べ、高齢者介護から派生した事業所が多い→相談支援事業所も同様。
3)フリースクール型、就労準備型など、他区にない形態もある。
4)自立支援協議会とは別に放課後等デイの事業者連絡会がある。
5)28か所すべての児童が週2回ずつ利用したとして、計算しても全障害児童が
840名の計算になる。
→6~18歳の障害児童が週2回利用でもこの人数の中に納まっているのか?
↓
希望の利用回数利用はおろか、選ぶ、1回でも利用する事さえできないの
ではないか。
10.まとめ
1)空きは年度変わりにしか出ない。
2)都内は全体的に空きが少ない。
3)送迎のありなしを考える。
→それぞれの家庭で本当に送迎が必要か、子供の成長やスキルを踏まえ、送迎を
考える必要がある。
4)板橋区は学校から放課後等デイサービスへの付き添いで移動支援は使えない。
→区によっては使えるところもある。
5)母体会社、併設サービスも知っておく。
→会社の方針やサービスの方向性がそれだけでも見えてくる。
6)特色で選ぶ。
→自分の子に何が合うか、何が必要か、放課後等デイに何を求めるかの基準を
持っておく。
↓
児童発達支援を利用していたら、今後どんなプログラムで何を伸ばしたら
いいかを相談してみては?
7)自費サービスも検討
→経済的負担も大きくなるが、公的サービスで選べない、満足出来ないのであれば
選択肢の一つとして知っておく必要がある。
①発達障害向け学習塾
②家庭教師
③一般の習い事(障害に合わせてくれるところを探す)等々
8)将来を見据え成長に必要なものは何かを考える。
→成人で発達障害をお持ちの方の事例や働き方を知り、早い時期から少しずつ
ゆっくりな成長に合わせ準備を進める。
9)制度があるから使わないともったいないではなく、必要なものは何かで考える。
→必ず使うことが全てではないし、複数の事を詰め込むことが成長に繋がるとは
限らない。
10)数は少ないが、預かり機能を持つ日中一時支援と言う事業もある。
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