令和元年7月20日(土)勉強会
「障害者差別解消法と合理的配慮について」
~学校に行く時どんな配慮をしてもらえる?~
1.障害者差別解消法とは?
1)平成28年4月より施行
2)正式名称は「障害を理由とする差別の解消の
推進に関する法律」
3)学校教育において求められる事
①不当な差別的取扱いの禁止
→障害のある人に対して、正当な理由なく、
障害を理由として差別をすることの禁止。
②合理的配慮の提供
→障害手帳の有無や診断の有無に関係なく、
必要かつ合理的な配慮の提供。
※社会的障壁とは?
→生活を営む上で妨げとなる社会的な
事物、制度、慣行、制度、観念その
他いっさいの物を指す。
※基礎的環境整備とは?
→文科省では、別紙の8項目を例示。
4)法律の対象範囲は?
①国の行政機関や地方公共団体は義務
②民間事業者は努力義務
5)企業などが法律に違反した場合の罰則は?
→直ちに罰則が科されることはない。
ただし、繰り返し障害のある方の権利
利益の侵害に当たるような差別が行われ、
自主的な改善が期待できない場合などには、
その民間事業者が行う事業を担当している
大臣が、民間事業者に対して報告を求める
ことができることにしており、この求めに
対して、虚偽の報告をしたり、報告を怠っ
たりしたような場合には、罰則(20万円
以下の過料)の対象になります。
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2.合理的配慮とは?
1)障害のある子供が他の子供と共に教育を受ける
ために、学校が提供する個別の変更・調整を指す。
→つまづきのある子供に個別の配慮や支援を提供
↓
視力の悪い人がメガネをかけるように、
子供たちが学校で学びやすくするための工夫
2)合理的配慮の進め方
①本人または保護者からの相談
↓
②本人側と学校・地域との話し合い
↓
③お互いに合意した配慮の実施
↓
④配慮についての見直し・改善
→成長や実施してみての状況に応じ、
常に同じものが提供ではない。
3)誰に相談するのか?
→担任の先生、特別支援教育コーディネーター、
スクールカウンセラーなど
↓
配慮の内容や方法が難しい場合は、学年
主任や教頭・校長先生など管理職にも相談。
4)配慮を受けるために必要な物は?
→客観的な判断材料
①医師の意見書
②療育機関担当者の意見書
③心理検査・読み書きテスト結果等
↓
児童発達支援事業所を利用していると、
就学に向けての評価表や配慮事項、場所に
よっては学校との調整をしてくれるところも
あります。
5)どうやって決まる?
→家庭、学校で相談した結果、双方の合意
が得られた内容を実施。
↓
内容は個別教育支援計画などに落とし込む。
※個別教育支援計画(文科省より)
→障害のある生徒のニーズを把握し、教育の
視点から適切に対応していくという考えの下、
長期的な視点で乳幼児期から学校卒業後までを
通じて一貫して的確な教育的支援を行うことを
目的。
↓
教育のみならず、福祉、医療、労働等の様々な
側面からの取組が必要であり、関係機関、関係
部局の密接な連携協力を確保することが不可欠。
6)どんな配慮でも全て提供されるか?
①学校などに対して体制面や財政面で過度な
負担を課さないものとされている。
→大きな費用や人手、設備など学校に
とって負担の大きい配慮は実施が難しい
場合がある。
↓
学校の状況や負担も考慮しながら、
実現可能な配慮、工夫を見つけ出す。
7)合意的配慮提供に際して、本人(保護者)と
学校の意見が合わない場合は?
→クラス単位では実施が難しい内容は校内の
共通理解が必要な場合もあり、管理職や
特別支援教育コーディネーターの同席も依頼。
↓
合意形成が難しい場合は、板橋区では教育
委員会教育総務課に調整の窓口がある。
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3.合意的配慮の実践例
1)板橋区の資料より
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_kurashi/091/091025.html
2)千葉県の資料より
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shien/tokubetsushien/gouritekihairyojireishuu.html
→各自治体において、実践例のボリューム、内容は
異なるが、実践例を数多く知っておくことで、
保護者もわが子の配慮事項の具体例を挙げやすく
なる。
↓
教育機関も他地域で実践例が既にある場合は取り
入れやすくなる。
3)各児童発達支援事業所での実践例
→わが子に特化したこれまでの成功例、実践例は
児童発達支援事業所を利用していると客観的、
専門的な視点での実践例が出されます。
利用している方は、就学前に相談してみると
いいでしょう。
就学後については、放課後等デイサービスや
相談支援事業所がその役割を担いますが、
現状、児童発達支援事業所に比べ、専門性で
ばらつきがあり、期待できるかは場所によるのが
現状です。
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4.まとめ
1)合意的配慮は学校などに一方的に求める
物ではない。
→保護者も生徒数やクラスの現状などを把握
しながら、どこが落としどころになるのかを
事前に推測し、何パターンか選択肢を持って
おく。
↓
パターンを持っておく、落としどころを推測
するには、合意的配慮の実践例をいかにたく
さん知っておくかが鍵。
2)周りから不公平と思われないか?
配慮で子供が甘えてしまわないか?
→合理的配慮は過剰な保護や気づかいではない。
苦手な事、困りごとに対するサポートは、障害
あるなしに関係なく、一人一人にとって必要
な事。
↓
子供が自分の力を発揮しやすくするための適度
なサポート。
※保護者だけの視点ではこの配慮が子供に
とって、厳しくみたり、甘くみたりしがち。
↓
専門的な機関の視点、評価が必要。
3)将来を見据え、子供の成長段階を適切に見極め
ながら、合理的配慮を変えていき、自立に導いて
いく。
→自立=全て自分で行う事ではない。
自分にとって出来る事、支援が必要な事を
見極め、相手に伝えることが自立。
※必要なサポートを上手に使える力。
4)就学前、就学後も是非保護者が知識を入れる
準備を。
→子供にとっての身近な支援者=保護者。
客観的な視点、豊富な知識、情報を持つこと
で、お子さんにとってはそれこそが強力な
支援になる。
↓
専門的な知識だけでなく、地域の情報、
ネットワークも大事な知識になる。
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